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こんにちは。寒暖差の激しい日が続き、子供だけでなく大人も体調管理が大変な昨今ですがいかがお過ごしですか。
さて、今月10日はずっと楽しみにしていた舘野泉さんのバースデーコンサートでした。
バースデーといっても、数えで御年88歳!この日も力強く美しく、知的な音色は健在でした。
今年一番の感動をシェアしたく、今しばらくお付き合いください(笑)。
まずはこのプログラム。
最初から最後まですべて現代曲!そしてほとんどが初演。ということは舘野さんにとっても初めて挑戦する曲ということで、このお年でなお新しい曲に挑戦し続けるそのひたむきさに頭が下がります。プログラム内容からも、パッと一見さんが聴きに来るような演目ではないことは明らかで、ずっと舘野泉さんを応援し続けたファンたちが集った空間は、本当に暖かく愛情深いものでしたよ。そして気になる上皇上皇后両陛下もいらっしゃいました。(舘野さんと親交がおありのようでお二人もちょくちょくいらしています。)
個人的には「鬼の学校」~左手のピアノと弦楽のための教育的五重奏~が楽しかったです。解説を読みながら演奏を聴いていると「なるほど!」と思える表現がいっぱいあったり、くすっと笑える場面があったり。あまりこういう音楽の聴き方にはなじみがないので新鮮でした。それにしても本当に力強い音色で、車いすで登場したその人が、しかも左手だけで弾いているとはとても思えません。相変わらず素晴らしすぎます。レジェンドの呼び名にふさわしい演奏でした。
2時間たっぷり現代曲を演奏した最後、アンコールが唱歌「赤とんぼ」というのがなんとも!
会場中が感動の涙に包まれたのはこの時だったと思います。私も私の友人も、となりの見知らぬ老紳士もここで泣いておりました。笑人生の大半をフィンランドで過ごしてる舘野氏が奏でる「赤とんぼ」は素朴でありながら華やかでアレンジも美しかったです(自分の語彙力のなさが恨めしい…)
本当に今年一番充実した2時間を過ごすことができました。
私が舘野泉さんという素晴らしいピアニストを知ったのは大学生の時。その年ごろによくある「人と違う自分でいたい」欲求を持て余し、音大のみんながあまり弾かない、というだけの理由でメリカントやカスキなど北欧の作曲家の曲をやたらと弾いていた時期がありました。(恥ずかしい…)
そのおかげで、その道における第一人者である舘野さんの存在を知ることになるのですが(四半世紀以上前!!)、彼が病に倒れて左手のピアニストとして復帰してからのほうがファンとしての熱が高まっています。昨今はコンサートのたびに「今日をもって引退します」といわれたらどうしよう…といらぬ心配をしてハラハラしておりますが、そんな心配をよそにわれらがレジェンドは毎回想像を超えた演奏でもてなしてくださいます。本当に素晴らしい!
音楽って本当に素晴らしい、そして私もまた音楽とともに生きていられる喜びを再確認した2時間でした。