【東京】音楽療法に20年携わってきた実績

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2024.03.01
短調の曲を味わう「うれしいひなまつり」

こんにちは。
春の訪れもすぐそこ。音楽療法の現場でも「梅」や「桃」が季節の歌に登場するようになってきました。「桜」の時期まであと少しです。さて、今日はこの時期を代表する短調の曲、「うれしいひなまつり」をとりあげます。


あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえたいこ
きょうはたのしい ひなまつり


おだいりさまと おひなさま
ふたりならんで すましがお
およめにいらした ねえさまに
よくにたかんじょの しろいかお

本当は4番まである曲なのですが、今日は歌詞の内容理解ではなく、短調のメロディーに注目してお話を進めたいと思います。子供のための曲は「明るく元気」な旋律の曲が多いので(仕方のないことではありますが・・・)、短調のメロディーでつくられた童謡は音楽教育者にはとても貴重でもあります。『短調=悲しい、さみしい』と解釈するのは簡単ですが「日本らしい調性」だとも思いませんか?

実際、短調が悲しいメロディーだというような認識が主流になったのは戦後、西洋音楽が広く普及して以降のことでした。その証拠に、昭和20年、敗戦直後の日本人の心を明るく慰めてくれた「リンゴの唄」は短調のメロディーで作曲されています。また、昭和30年代に歌声喫茶が流行った時、ロシア民謡が好んで歌われたのもその旋律が懐かしく人々の哀愁を誘ったからでした。古くは江戸時代に筝曲などでもよく使われた「陰旋法」という音階がありますが、この曲は「長調」「短調」の調性で語るよりも、日本古来の和音階で作曲された曲だという風に考えたほうがしっくりきます。

ただ、教室で小さい子供たちに指導するときは「うれしいひなまつりなのに少し悲しいメロディーだね」とついつい言ってしまうのですが・・・苦笑