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こんにちは。ハロウィンの喧噪も過ぎ去り、街には早くもクリスマスツリーが飾られ始めましたね。
本当にあっという間に季節は移ろってゆきますが、個人的にはもう少し深まる秋をじっくり味わいたいところです。
さて、自由が丘の音楽教室では今月は「もみじ」という唱歌を題材に、
ピアノやてっきんで演奏をしたり、「輪唱」に挑戦したり。
各々、一か月かけてじっくり深掘りしながら曲の世界観を味わってゆきます。
秋の夕日に 照る山もみじ
濃いも薄いも 数ある中に
松をいろどる 楓や蔦(つた)は
山のふもとの 裾模様
「もみじ」の一番の歌詞ですが、本当に美しい詞だと思いませんか。
カルチャーセンターなどでこの曲を取り上げるときには、皆さんに必ず歌詞を音読してもらうのですが、この曲、最後の「すそもよう」の5音以外は全て7音で表現されています。
短歌や俳句と同じく7音と5音を定型として作詞されているのですが、
このような厳しい文字制限の中で、ここまで晩秋の山の風景を生き生きと表現できるなんて、本当に素晴らしい。まさに芸術作品だと思います。
緑色の松の周りを、紅葉した楓やつたがいろどって、
山頂から山のふもとまでの風景はまるで着物の柄のよう。
余談ですがこの詩を読むといつも私には「富士山」の2番の歌詞を想起するのです。
青空高く そびえたち
からだに雪の きものきて
かすみのすそを 遠くひく
ふじは日本一の山
こちらは7音と5音の繰り返しの歌詞ですね。
違う作詞者ですが山が着物を着てるよう、と表現している点で同じですね。
2曲とも、作詞者は離れたところから山を見ているところも共通です。
さて、話は戻って「もみじ」の2番の歌詞です。
渓(たに)の流れに 散り浮くもみじ
波にゆられて 離れて寄って
赤や黄色の 色さまざまに
水の上にも 織る錦
1番の歌詞では離れたところから山の紅葉を楽しんでいましたが、
2番では山の中に入っていっているようですね。
すると見える風景も変わってきます。
山の谷間を流れる渓谷にも、もみじが浮かんでいます。
色美しい葉が波に揺られる様がまるで絹の着物のよう。
こんな風に1番と2番の歌詞の対比も楽しんでいただきたい名曲です。
子供達には「輪唱」を通して「自分以外の音を意識すること」そして「他者とのハーモニー」も楽しんでもらえると良いなと思います。