【東京】音楽療法に20年携わってきた実績

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2024.05.06
5月のうた「茶摘み」

こんにちは。新緑の美しい季節になりましたね。風も穏やかで日差しも柔らかく、つかの間の幸せな季節です。皆様、ゴールデンウィークいかがお過ごしですか?

さて今日は、今の季節にぴったりの唱歌「茶摘み」のお話です。


夏も近づく 八十八夜
野にも山にも 若葉が茂る
あれに見えるは 茶摘みじゃないか
あかねだすきに 菅(すげ)の笠


ひよりつづきの 今日このごろを
心のどかに 摘みつつ歌う
摘めよ摘め摘め 摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の 茶にならぬ

昭和に幼少期を過ごした私は手遊び歌としてもなじみの深いこの曲ですが、歴史は深く、明治時代に作られた唱歌です。

冒頭が休符から始まる曲ですので、アウフタクトのリズムになじみのなかった明治時代の子供たちには、歌いづらく、でも挑戦しがいのある曲だったのではないかな~と想像してしまいます。

そしてこちら、この時代の唱歌によくみられる7文字の短文の繰り返し(最後は5文字)で成り立つ歌詞ですが、新緑のすがすがしい今日のようなお天気の中で、女性たちがおしゃべりしながら茶摘みをする健康的でさわやかな情景が目に浮かぶようです。

唱歌をきちんと学んだ経験により、季節ごとの行事や日々の生活、そして移ろいゆく季節や人々の心情をとらえる日本語の表現力の深さと奥行きに感嘆しつつ、西洋音楽とはまた違った「日本語が織りなす芸術」に圧倒されます。

「村の鍛冶屋」のように時代が移り変わり風化していく唱歌もこれから数多くなっていくのでしょうが、今の季節にしか歌われることのない「茶摘み」。ぜひその伝統とともに歌い継がれていってもらいたいものです。