【東京】音楽療法に20年携わってきた実績

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2024.07.02
7月のうた「椰子の実」

こんにちは。
年々暑さが厳しくなっていく昨今、とうとう今年も本格的な夏到来のようです。
さて、今日は私が一番大好きな「椰子の実」という唱歌をご紹介します。


名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実 ひとつ
ふるさとの岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)


もとの木は 生いや茂れる
枝はなお 影をやなせる
われもまた なぎさを枕
ひとり身の 浮き寝の旅ぞ


実をとりて 胸にあつれば
あらたなり 流離(りゅうり)の憂い
海の日の 沈むを見れば
たぎり落つ 異郷の涙

思いやる 八重の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国に帰らん

少し歌詞が難しく感じられるのは、もともとは唱歌としてつくられたものではなかったからです。
詩人の島崎藤村が作った詩に、あとから曲がつけられて広く歌われるようになりました。

どこか遠くの島から長い旅を通して流れ着いた一つの椰子の実。
主人公は、たよりなく漂う椰子の実に心を寄せます。
さらに、もといた木が今でも生い茂って枝は影をつくっているだろうか、と
椰子の実の故郷にまで思いを寄せます。
そして、遠くから長い旅の果てに自分の手元にやってきた椰子の実に、
自分の姿を重ねるのですから、詩人の感性って繊細で豊かですよね。

しかも・・・、ここまでのすべてが、友人である柳田國男から聞いた
『伊良湖岬で椰子の実を見つけた』
というエピソードからの創作だというのですから、島崎藤村の感性に脱帽です。

また、3番の後に続くコーダ部分が良い!
いつか自分が帰る故郷を思って歌が終わります。

海岸で拾った、たった一つの椰子の実。
そこから始まる壮大な物語に、私は心を奪われてしまいました。
心の中で静かに沸き起こる複雑な思いを、穏やかでゆったりとした曲が優しく包み込む名曲です。

ぜひ聴いてみてください。